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荷重として作用させた。鋼矢板の根入れ長は、港湾の施設の技術上の基準に従い、ジャケット最下段の腹起しまわりの地震時の主動土圧と受動土圧の釣合深さから決定した。
(2)接岸力に対する裏込上の抵抗評価
ジャケットに作用する接岸力はおもに上部工を通じて鋼矢板背後の裏込土に伝達される。接岸力によって陸側に押さえつけられた状態のジャケットの強度検討を行うには、裏込土を含めたジャケット全体の変形を評価する必要がある。このため、構造解析モデルに裏込上の受動抵抗に相当するバイリニアーの地盤バネを考慮した。
3−5. 詳細設計
ジャケットの鋼管格点部はAPl-RP2Aに従って支管による主管の押し抜き剪断(パンチングシアー)耐力を照査し、必要に応じた主管格点部の板厚、材質を決定した。上部工のH型鋼桁とジャケットレグの接合部は外ダイアフラム形式、防舷材取付架台とレグの接合部はガセットプレート継手式として、鋼管構造設計施工指針に従って設計した。
ジャケット本体の耐用年数は50年で、防食は、L.W.L−2.0以上の干満帯および飛沫帯を超厚膜エポキシ樹脂塗覆、海中部と土中部を30年対応のアルミニウム陽極を用いた電気防食と20年相当の鋼材の腐食代を併用した。鋼矢板も同様に干満帯、飛沫帯にはポリエチレンライニング、海中部、土中部は電気防食と腐食代の併用とした、なお鋼矢板の裏込側は全て腐食代で対応した。また-9m岸壁のジャケットレグのうち4本には干満帯、飛沫帯に試験的にステンレス鋼板(SUS316Lt=1.5?)による防食被覆を用いた。ステンレス鋼による金属ライニングは、チタンやモネルに比べて安価で、電気防食との併用により異種金属間腐食、隙間腐食が防止できるため今後の重防食材料として期待されている。
4. ジャケットの製作
4-1. 製作
ジャケットは、北九州、播磨、清水、千葉の工場で製作された。鋼管トラスは、工場内で管端部の部材加工をしたのち、陸上ヤードで法線直角方向の平面パネルを組み立て、次に平面パネルを建て起こして法線方向に順番に接続して立体組み立てを行う。製作順序をFig-4に示す。使用鋼材の種類は道路橋示方書に従って板厚に応じて定めた。ジャケットレグの格点部は、溶接時に板厚方向に強い拘束応力が発生する可能性があり、これによる層状剥離を防止するために、JISに規定された耐ラメラティア鋼を用いた。
4-2. 出荷, 輸送
完成したジャケットは通常台船で海上輸送される。台船への積込みは、そりを使って架台上をすべらせるスキッディンク方式と起重機船で吊り込む式があり、本ジャケットは起重機船による積込方法をとった。(Photo−2)台船に積込まれたジャケットは固縛設計に基づいて甲板に固定される固縛設計は予定の曳航ルート、時期から台船の動揺条件を決定し、動揺によるジャケットの慣性力に対して固縛材サイズおよび台船の甲板強度を検討した。

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Fig-4 Assembly procedure of jacket

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Photo-2 Load out of the jackets

5.ジャケット式岸壁の施工
5−1. 調査試験工事
1)土質・地形調査
実施設計にあたって、基準測量をはじめ、土質の把握(ボーリング)および既設岸壁の傾斜・出入等を調査した。また、施工時の既設岸壁の動態を把握するため、定点観測を継続的に行うことにした。
2)鋼管杭打設試験
現地にて旋回式起重機船を用いて各種の工法にて試験工事を行った。その結果、施工性、経済性および、振動・騒音に対し最も適した大型電動バイブロハンマー、ウォータージェットカッター併用を採用することにした。
5-2. 捨石・上砂撤去工
-5.5m岸壁は、仮受杭、鋼管杭、銅矢板打設に支障をきたす捨石(層厚2〜3m)が全域にわたって敷き詰められていた。しかしながら、撤去することにより既設ケーソンか倒壊する恐れがあったので、スリット式大型バケット(7.0m3)を取り付けたバックホウ式浚渫船を使用

 

 

 

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